1：5歳になると、言語能力もだいぶ発達し、複雑で長いストーリーを楽しむことができるようになります。冒険や挑戦を描いた絵本や、子どものイメージをふくらませる絵本を選んでみてください。

例えば、『ひとまねこざる』（H. A. レイ文・絵、光吉夏弥訳、岩波書店、1954年）、『まほうのコップ』（藤田千枝原案、川島敏生写真、長谷川摂子文、福音館書店、2012年）などがおすすめです。

2：4歳になると、想像力が豊かになり、友達や身近な人の気持ちを理解し共感することができるようになります。想像の世界で自由に遊ぶことができる絵本や、さまざまな感情に触れることができる絵本を選んでみてください。

例えば、『まあちゃんのながいかみ』（たかどのほうこ作、福音館書店、1995年）、『すてきな三にんぐみ』（トミー・アンゲラー作、今江祥智訳、偕成社、1969年）などがおすすめです。

3：3歳になると、さまざまなものに興味を示します。また、言葉をどんどん覚え、ストーリーを理解し楽しむことができるようになります。自分の生活に近い絵本や、自然の絵本、ストーリーの繰り返しのある絵本を選んでみてください。

例えば、『どうぶつのおかあさん』（小森厚文、薮内正幸絵、福音館書店、1981年）、『てぶくろ』（ウクライナ民話、エウゲーニー・M・ラチョフ絵、内田莉莎子訳、福音館書店、1965年）などがおすすめです。

    　4：おおげさに声色を変えて読むと、子どもは読み手に注目してしまい、絵本そのものを楽しむことができなくなる可能性があります。読み手は、自身も絵本を楽しみ、絵本の雰囲気を大切にして、自然に読むのがよいと思います。

5：子どもが読み聞かせを十分に楽しむために、絵本を安定させて持つことは、とても大事なことです。利き手で絵本を持つことをおすすめします。利き手の手の平と親指で後方から絵本の中心を支え、手前に4本の指を揃えコンパクトに添えてください。利き手でない方の手は、絵本の端に添えてください。

6：聞き手がある程度の年齢の子どもである場合には、それほど意識して子どもを見る必要はありません。絵本に間がある場面で、子どもの「様子をうかがう」くらいでよいと思います。一方で、聞き手がとても幼い子どもである場合には、意識して子どもを見るようにしてください。

       7：子どもの「知ってる！」という言葉は、「表紙（だけ）は見たことがある」という意味かもしれません。または、「それ、好き！」「今日も読んでほしい！」という意味かもしれません。その子どもは絵本を知っているとしても、他の多くの子どもは知らないと思われますので、そのまま読んで、みんなで楽しんでください。

9：読み聞かせを行う前に、絵本に「開きぐせ」をつけておきましょう。表紙から、また、裏表紙から交互に１ページずつ開きながら絵本の中心を手の腹で丁寧に押さえてください。新しい絵本を読むときには、とくにしっかりと開きぐせをつけましょう。これで、子どもも絵本を見やすくなります。